国語の教員でしたが、アメリカで子育てをして、日本に帰国しました。

高校の国語科教員を退職し、長女が1歳の時に渡米し、2022年に帰国しました。3人目も無事出産しました。

「タイガー・マム」は何を目指す?〈2〉−アメリカの厳しい名門大学入試の世界

タイガーマムシリーズ第二弾ということで、この回からしばらくアメリカの大学入試を、特に名門大学と言われる大学について書いていこうと思います。私は専門家ではありませんから、限りある時間の中で今のところ自分が得た情報ですので、それだけご了承願います…。

 

タイガーマムの課題図書

ところで、自分は「タイガーマム・ウォッチャー」ではないか、と書いておきながら、根本的な情報を見逃していました!

「タイガーマム・ウォッチャーの課題図書」ともいうべき書籍があったのに、その本をまだ読んでいなかったのです!!

 

 

 

約10年前にアメリカで出版されるやいなやベストセラーになり、賛否両論を巻き起こしたそうです。ここから「タイガーマザー( tiger mother,  tiger mom )」という言葉が生まれたのです。アメリカ発の言葉だったのですね!どうりで!我が子をピアノやバイオリンの神童に育てながら、ハーバード進学などのエリートコースを目指す…タイガーマムの真髄がここに…(ごくり)

これを読まずしてタイガーマムを語る資格全く無いな…と思い、早速読みました。最近は読みたい本は全部Kindleなのですが、これは日本語版が電子書籍で出ておらず、図書館で借りました。なぜか(?)斎藤孝先生翻訳ですよ!あとがきも書かれています。そのあまりに衝撃的な内容に、斎藤先生も翻訳に苦労されたのではないでしょうか…。この本のレビューはまた別の機会にすることになると思いますが、真のタイガーマムの方は読む必要は無いと思いました。タイガーマムにとっては当たり前のことだけが書かれているはずです(笑)。

 

アメリカの厳しい名門大学入試の世界

さて、今より遡ること約1年前、アメリカの大学入試制度について調べるのが面白くて、ハマっていました。というより、これまで無知すぎたので、日本との違いに驚いて調べてみると、知れば知るほど楽しくなったのです。記事自体は昨年末から少しずつ下書きを書いていたのですが、その頃TwoSet熱が再燃してしまい、全く筆が進まなくなってしまっていました。

しかし、ここで意を決して、これから数回に分けて米大学シリーズを書きたいと思います。(TwoSetも出てくると思います)

 

私はこれでも一応、前職は高校教員で、東京のごく平均的な(要するにあまり勉強が得意ではない)高校生を10年間指導してきたこともあり、進路指導部にいたり、高3担任を2回したこともあるので、少しは受験のことがわかっているつもりです…。(もう退職して6年以上も経ってしまいましたが)

そんな私も、アメリカの大学にはほとんど縁がなく、私にとっては謎に包まれていました。

アメリカの入試制度はこれから先も変わっていくでしょうし、こたびのパンデミックで転換期を迎えたようなところもあるのですが、今現在わかっていることをまとめてみて、これからどうしようか考えていこうと思っています。

 

生まれる前から始まっている!

調べてみてわかったのですが、アメリカの大学入試は「生まれた時から始まっている」といっても過言ではありませんでした。まさにそれまでの人生の総力戦です。

日本の大学が主に「その時点での学力」で選考されるとすると、アメリカの大学は「全人格、それまでの人生、いや、もっというと生まれる前の親の代から」選考されます。もちろんテストによる学力も要素の一つですが、数多くある要素の中の、ただの一つに過ぎないのです。

(ちなみに「人生の総力戦」という言い方は間違っていると夫氏から指摘を受けました。そうではなくて、「人生が総力戦」なのであり、大学受験のために人生があるはずはなく、人生のために、一つの通過点として、大学受験があるのだ、というのです。全くその通りだし、そのように子育てしていくべきだし自分の人生もそうありたいと、改めて考えました。でも、実際アメリカの大学入試がそんな感じなのです。)

 

では、アメリカの大学に行くにはどのような選考が行われ、どのような力が必要とされるのでしょうか。

 

アメリカン・ドリーム

タイトルに「名門」と入れたのは、アメリカには「コミュニティ・カレッジ(日本では略してコミカレ)」といって、ほとんど選考のないに等しい、誰にでも門戸を開いている公立の二年制の大学がたくさんあり、どこでもいいというのであれば、そこへ入ることはまず確実にできそうだからです。この「コミカレ」から名門の四年制大学編入することも可能なので、決して軽んじているわけではありません。実際、そのようにして学歴を積んでいくことはアメリカでは普通のことですし、それができるというのがアメリカの良いところなのです。アメリカン・ドリームを成し得ることのできる所以だと思います。

だから、もし希望のところへ入れなければ、コミカレへ進めばいいのだと思います。でも、とりあえずは「名門」と呼ばれる大学への直接の入り方を知っておけば、他の多くの大学へも応用がききますし、日本の大学のAO入試への出願を考える際にも役に立つと思いました(アメリカの大学入試制度を真似したものがAOなので)。

 

リクナビ等の就職・転職サイトにも似た出願制度

アメリカの大学の出願は、日本以上に併願が容易です。日本の「国公立大学」に当たる「州立大学」でも、もちろん私立大学でも、日本で就活生が使う「リクナビ」のようなオンラインのシステムで、一括で20校まで同時に出願することができ、個別の試験を受けに行く必要がありません。個別で課されるのは、大学独自の「エッセイ」や、卒業生が行う面接で、それがない大学もあります。

 

日本では国公立なら「前期日程」で受ける大学をどこか1校に絞る必要に迫られます。「中期日程」も「後期日程」も受けられる大学や学部が少なく、合格者数も極端に少なくなるので、実質的にはほとんど機能していないからです。更に、私立を受験するとなると、それぞれ個別の試験を受けに行く必要があります。私立にも「共通テスト利用入試」なるものがあり、共通テストの点数を送るだけで合否が出るという楽な出願方法がありますが、1ランク上の受験生の滑り止めとして利用されているのが実情なので、必然的に合格ラインが高くなることは考慮に入れておかなければなりません。

(つまりトップ私大の共通テスト利用で合格するような受験生は、トップ国公立の二次試験に進むレベルであって、私大側としてはこのような生徒のセーフティーネットとしての役割を狙っていると思われます。だから、共通テスト利用は挑戦レベルの第一志望の私立受験に使ってはいけない方式です。ちなみに慶応はセンターの頃に共通テストを用いた選考を廃止しています。)

 

アメリカの大学入試は簡単なの?

日本国内ではトップの大学は東大京大以下国公立早慶上理…と決まっている感じがしますが(もちろん異論はあるかと思います)、アメリカでは必ずしもそうではありません。それぞれに強い分野があったり、特色ある大学が、それぞれ東大以上のレベルでたくさんあるのです。東大相当もしくはそれ以上のレベルの大学に、何校も個別試験無しで出願し放題…。ちなみに受験料は日本の大学の4〜5分の1程度。日本では受験料の観点から、多くても一年で10校程度の受験になるので、アメリカで20校くらい受けるのは普通といえるでしょう。「数が打てる」という意味で、何だか「東大よりも簡単なんじゃないか」…という錯覚にも陥ってしまいます…。

 

では、実際はどうなのでしょうか。

 

アメリカの「名門」大学といえば、東海岸では「ハーバード」、西海岸では「スタンフォード」という名前がよく知られているかと思いますが、これらはどちらも私立です。アメリカでは、歴史的に私立大学が先にできたこともあり、州立大よりも私立大がトップに君臨しています。その私立の中でも象徴的な大学群を「アイビーリーグ」と呼びます。東海岸の歴史ある伝統校群で、「ハーバード」を筆頭に「ブラウン」「コロンビア」「コーネル」「ダートマス」「プリンストン」「ペンシルバニア」「イェール」の8校を総称した呼び方です。ここに西海岸の「スタンフォード」は含まれません。しかし、スタンフォードは「西のハーバード」と呼ばれるほどの難関であり、難易度としては他のアイビーをしのぐほどだそうです。西海岸には他に「西のMIT」である「CALTEC(カルテックカリフォルニア工科大学)や、「UCLA」「UC Berkeley」といった名門州立大学、「UCLA」のライバル校と言われる「UCS(南カリフォルニア大学)」(←音楽学部では五嶋みどりさんが教鞭をとっていることでも有名)もあります。

更に東海岸には名門リベラルカレッジ群もあります。(リベラルカレッジの説明は後にすることになるかと思います)

いずれもが世界大学ランキングにおいては東大京大相当か、はるかそれ以上のレベル…。しかし、日本のように大学へ出向いて受ける個別試験は無し…。では一体どのような人物が、そういった名門大学に合格するのか?私の興味と疑問は尽きませんでした。

 

とても中途半端ですが、ここで一旦区切ります。ここから長くなりそうなので、今後数回に渡って書くことになります。

 

次回は、私が実際に読んだ記事や書籍から、それぞれどのような受験生が合格しているのかをざっくりとまとめたいと思います。

 

アメリカの「共通テスト」的位置付けのテスト「SAT」は本当に簡単なのか!?

↓オススメに出てきて、観て笑いました(笑)「SAT」の数学は簡単みたいです…簡単なんですけれど…そう甘くはないのがアメリカの入試です…。


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