国語の教員でしたが、アメリカで子育てをして、日本に帰国しました。

高校の国語科教員を退職し、長女が1歳の時に渡米し、2022年に帰国しました。3人目も無事出産しました。

ラン活報告。五千円台のランドセルを買いました。

いろいろと手のかかる次女も、いよいよ小学校の入学が近づいてきました。

 

これまでも様々なことがありましたが、アメリカでの出産時、70時間以上に及ぶお産を経て仮死状態で生まれて来て、真っ白に青ざめ、息をしていなかった次女が、ここまで大きく元気に育ってくれたことにただただ感謝します。

 

私達は去年の4月末に日本へ引っ越してきて、小2の長女の入学準備をバタバタとしたので、何が必要なのかは一通りわかっていましたし、次女は新入生として一括で学校で購入できるものもあったので、長女の時よりも楽に感じましたが、この春から小学校入学となる次女の入学準備について、少し記録として残しておこうと思います。

 

我が家のラン活

 

日本の小学校入学準備といえば、やはり「ラン活」が一番に挙げられるでしょう。そうです、ランドセル活動です。より良い、我が子に合ったランドセルを求めて、日本の親は奔走するわけです。

 

我が家のラン活の目標は「新品の一番安いランドセルを手に入れる」。これに尽きました。

 

昨年の帰国の際、長女にはAmazonで5800円で購入しました。アメリカ式にバックパックを貫いてもよかったのですが、長女が「日本のランドセルを背負ってみたい!」と希望したので、一番オーソドックスな形のものにしました。色はパステルピンクが良いとのことだったので、桜色のような淡いピンク色のものにしました。ちょうど好みの色が売っていてよかったです。

 

 

実は最初に「来週からランドセルが必要だ!」となった時、「イオンのランドセルは安いランドセルの代名詞らしい」とリサーチして最寄りの大きそうなイオンに電話したのですが、5月の中途半端な時期ということで品揃えが悪く、しかし全く安くなっておらず、確か5万円とか?言われ、全く安くない!!と、一から考え直すことにしました。

 

安いって、3万円くらいだと思い込んでいたのですよね…私…。(今調べてみると、3万円前後のものも売っているようですが、当時は在庫がなかったようです)

 

しかし…よくよく夫と話し合って考えてみると、子どもの通学バッグには3万円だって高いのです!

 

「ランドセルはただの通学バッグではない」という、ランドセルにとても思い入れのあるご家庭や、おじいちゃんおばあちゃんがぜひにと買ってくださるようなご家庭はいいのかもしれませんが、我が家は特にランドセルへの思い入れもなく、全くサポート無し状態でした。ましてや、また数年でアメリカへ戻ったり、海外へ行くかもしれない…。

 

3万円でも高い。1万円でもまだ高い…。

 

我が家が納得できた価格が、5800円のものでした。(合皮で伝統的なランドセルらしい形をしています。伝統的な形は、娘が望んだからです。)色によってお値段が異なるようなのですが、色々な色が選べて良いと思います。

 

安いランドセルはすぐに悪くなるのか?

 

「安いランドセルなんて、すぐに悪くなるでしょう?」

 

よくいわれることかと思います。では、この「すぐ」は、どのくらいの期間を指すのでしょうか。我が子が通う公立小学校の入学のしおりには、持ち物に、「ランドセル(6年間使用します)」と書かれていましたが、これを「6年間同じものを使用します」と捉えると、「すぐ」は2、3年といえるかもしれません。しかし、「同じものを6年間使用しないといけない」という決まりはどこにもないのです。

 

私自身は、通勤に使用したことのあるバッグは高くて3万円台までです。そういうものは、毎日使用していると、1〜2年もすればだいぶくたびれてきます。半年ごとに季節に合わせて他のバッグとローテーションするのですが、2年も経てば流行も変わったり、好みも変わってきますので、ボーナスも出たことだし買い換えようかな…となります。

 

私は十万円のバッグも、数十万円のバッグも、百万円以上するバッグも、持ったことがないのでわからないのですが、それくらいのものを持っていれば、毎日持ち歩いてもくたびれないのかもしれません。ただ、「親も持っていないような高価なバッグを小学生の子どもに買い与えるのは、やりすぎだ」というのが我が家の結論でした。(あくまで我が家の場合ですよ)

 

仮に、「安物の3万円のランドセル」を毎日使用していると、1,2年でくたびれてくるとします。

 

では、5800円の合皮のランドセルはどれくらいでくたびれてくるのでしょうか?周囲に使用している例がなかったので、私達は長女に買い与えて実験してみることにしました。

 

もし1ヶ月もすれば使えなくなるようなら、その時に本革のものに買い換えを検討すればいいと考えました。イオンのランドセルで旧モデルなら5万円位なわけです。

 

1年間使えれば、毎年買い替えても5年間で5個買うことになるので合計29,000円。半年しか持たなければ、10個買うことになるので58,000円。この場合がイオンのランドセルと同じくらいのコストになります。ということは、「半年持てば、合皮で良い」ということです。

 

では、実際に5800円の合皮のランドセルを毎日使用した長女はどうだったでしょうか。現在11ヶ月目ですが、全く問題なく使用しています。このまま一年目は無事に迎えられそうです。

 

そういった経緯があり、「次女も全く同じでいいね」という結論になりました。色は次女の好きな色を選びました。同じ形で、長女と色違いです。

 

出荷に多少トラブルがありましたが、時期に余裕をもって注文しておけば、まあおそらく大丈夫です。(写真と全くタイプの違うものが送られてきて、返品しても全額返金しようとしない業者がありましたが、メールのやり取りで何とかなりました)



安いランドセルだといじめられる?

 

「ランドセル 安い」で検索したところ、「安いランドセルだといじめられませんか」という質問がヒットして戦慄しました。え!?なにそれ!?日本はそこまで落ちぶれてしまったの!????と、大混乱したものです。

 

これについても、我が家として一言申し上げておきたいと思います。

 

今の小学生は「ランドセルカバー」というものを付けています。10万円もするような、高価なランドセルを雨や傷、汚れから守るために付けているのだと思われます。しかし、そのことによって、かえってランドセル自体の質の違いは、あまり目立たなくなっています。

 

我が子が通う小学校は、一年生は全員黄色の交通安全とか書かれたカバーを統一して着用しなくてはいけないらしく(一年生だとわかりやすくするため)、入学式の翌日から皆その黄色いカバーに包まれます。よって、ピカピカの10万円のランドセルが人目に触れるのは入学式の一日だけなのです。

 

2年生以上は、カバーは必須ではありません。しかし、先ほども書いたように、10万円もするランドセルを傷や汚れから守るため、もしくは芽生えてきた自我によって個性を表現するためなどの理由からか、高学年になってもランドセルカバーを着用し続ける児童は少なくありません。

 

そのランドセルカバーは、シンプルなものだと100均や1000円以下でもありますが、人気のキャラクターや凝ったデザインのものだと2000円以上します。

 

我が家は、「5800円のランドセルのために2000円するカバーをつけるのはばかばかしい」という結論に達し、カバーを付けていなかったのですが(最近100均のものを付けています)、5800円のランドセルと2000円のランドセルカバーが並んでいても、あまり見劣りはしません。

 

特に低学年のうちは、誰がどんなランドセルを持っているなどは、色くらいしか気にならないようです。だから、背負う本人が思いっきり好きな色を選ばせたら良いと思うんですよね。うちの長女は、クラスメイトや道ゆく人にもよく「その色いいね、かわいいね」と声をかけられていました。そうすると、自己肯定感も高まると思います。高いランドセルを長期間使うがために、高学年になった時に恥ずかしくない色を…といって、今好きでもない色をあえて選ばなくても良いのではないか、と私は考えます。

 

6年生になって、「アタシ黒のランドセルがいい」と言い出したら、6年生になったお祝いに5800円程度でまた黒のランドセルを買えば良いと思うんです。お年玉で買っても良いと思います。それは格安ランドセルだからこそできることだと思うのです。

 

「悪くなったら新しいものに買い換えれば良い、という考え方はいかにもアメリカ的でサスティナブルではない!」とお叱りを受けそうです。でも、最近は合皮を「ヴィーガンレザー」と表現することもあり、何だか健康や地球に良さそうなイメージになりつつあります。実際、本革を使用するということは、牛を一頭育てるのにかかる燃料や牧草などのコストを考えると、環境に大きな負荷がかかっていると言われています。



問題の「安いランドセルだといじめられるのか」問題ですが、

いじめられるわけがない!

と、はっきり言いたいと思います。

 

もし、「安いランドセルだといじめられるのか」と心配な人がいるとすると、それはその人の心の中に、安いランドセルを背負っている子はみっともないとか、かわいそう、という意識があるのかなと思います。でも、もしいじめられたとしても、ランドセルが悪いわけがないのです。いじめる人が悪いのです。

 

そもそも、小学生の低学年のうちは、自分のランドセルがいくらしたのかとか、友達のランドセルがいくらなのかなどは全く興味がないことです。もし、関心があるとすれば、その子の親が幾度となく子どもに言い聞かせているとか、あの子のランドセルはいくらだとか、論評しているのだと思うのです。幸いなことに、長女の周りにそのようなご家庭はなかったようです。

 

私達はこう考えました。限りあるお金をランドセルに費やすよりも、浮いたお金で他の必要な学用品や習い事などにお金をかけてあげよう、と。親が毅然とした態度で信念を持ってやっていることに、引け目を感じる必要はありませんし、そんなことで誰もいじめるわけがないのです。

 

というわけで、我が家は格安ランドセルを購入しました。浮いたお金で、手提げや袋物を、ユザワヤでオーダーして、子どもが気に入った生地で一式作ってもらうことにしました。そちらは合計10,000円くらいでした。(私自身は裁縫が苦手なんです…ミシンも持ってないし…ミシン買うよりオーダーした方がきれいで安いんですよね。結果とても満足のいくものを作っていただけました。)

 

こういったことは、世間ではなかなか大声で言われません。可愛い我が子の小学校入学を祝うランドセルを、安物で済まそうなどということはなかなか大声では言いづらいからでしょうか。

 

しかし、誰もランドセルを背負わず、入学式というセレモニーすらない外国からやって来ると、ランドセルというものの価値はそれほど絶対的ではないことに気がつきます。「ただの日本式のバックパック」という捉え方をするだけで、ずいぶん肩の荷が下りるはずです。ランドセルだけに。

 

世の中のラン活に悩む方々がいらっしゃるなら、この記事が何かのお役に立てば幸いです。