国語の教員でしたが、アメリカで子育てをして、日本に帰国しました。

高校の国語科教員を退職し、長女が1歳の時に渡米し、2022年に帰国しました。3人目も無事出産しました。

メニューイン・ジュニアの部で若尾圭良さんが優勝!

Twosetterとして注目していたメニューイン・国際コンクールが、ついに終了しました!注目していたジュニアの部の優勝者は、Keila Wakaoさんでした!!!!!おめでとうございます!!!!!

(閉幕してからようやく日本語ニュースが出てきました↓)

www.yomiuri.co.jp

Twosetter注目のKento Hongさんは、4位でした!!!!今後のご活躍、期待しています!!!!(Twoset familyになってほしい!)

 

私は素人もいいところなので論評などできませんが、どの出場者も美しい音に確かなテクニックで圧倒されました!が、Keilaさんが突出していたのはその表現力かなと感じました。

実は、発表の後にMC?の人が紹介していたKeilaさんのバックグラウンドについては、聞いた時ちょっと違和感を覚えました。「それ、今ここで言う必要はあるのだろうか?」と。彼女の溢れる音楽的才覚と豊かな表現力で優勝した、それだけで十分だった気がするのです。

でも、色々と調べていくうちにその考えは変わりました!一度聴いたら分かると思いますが、そのバックグラウンドは、決して彼女の実力にゲタを履かせるものではなく、その実力に説得力を持たせるものだったからです。彼女の、時々祈るような…15歳とは思えないような表現力は何なのか。それを知ると、もう感動せずにはいられません。おそらく、アメリカの音楽界では有名な話だったんじゃないかと思います。審査員長もあの感じからして当然知っていたでしょう。でも、その身上は、ただの美談ではなくて、彼女の実力の一つなのです。なぜなら、芸術とは、その「人」の内側から出てくるものだからです。

だから、その「人」がどんな人なのか、というのは芸術を鑑賞する上で実は重要です。良い悪いではなくて、芸術を感じるために、人間にとって必要になるものだと、私は思うのです。例えば卑近な例ですが、普段ふざけてるTwoSet が時々真面目に弾いてくれると「嬉しい」「楽しい」という感情が聴く人に起こるわけです。それは、どこの誰が弾いているのかもわからないけれど上手な美しい音楽を聴くだけでは決して起こらない感情であり、演奏家を通して音楽を聴くというのは一つの鑑賞方法だといえます。純粋に作曲家に思いを馳せ音楽の美しさを楽しむのももちろん音楽の鑑賞のあり方だと思います。でも、このコンクールはまさに演奏する「人」に焦点を当てた競争なのです。彼女の経験を知ることは、彼女の演奏を聴いて「一体この表現力の根源には何があるのだろう?」と思う鑑賞者にとって、この上ない説得力を以て心に迫ってくるものではないかと思いました。



前置きが長くなってしまいましたが、以下、私がざっくりと調べたことと、考えたことを書きます。ちなみに、一連のTwoSet関連の記事は趣味を兼ねた私の英語の勉強のためにやっていることなので、間違いのご指摘や訂正は大歓迎です!(でも炎上だけは勘弁してください・汗)

 

Keila Wakao(若尾圭良)さんは、お父様がボストン交響楽団準首席、ボストンポップス首席オーボエ奏者の若尾圭介さん、お母様がピアニストの美絵さんという、ご両親日本人のボストン生まれです。昨年、代官山で日本デビューも飾っていらっしゃいます。ビデオ通話で優勝を伝えられて、会話を終える時にペコペコ頭が動いちゃうのを見て、「あ!この人は日本人だ〜!」って嬉しくなりました(国籍やアイデンティティは存じ上げないのですが、読売新聞のオンラインニュースでは「日本人」ってなってましたね)。

圭良さんが11歳の時、お父様が咽頭がんになり、過酷な闘病生活の末がんは完治し、お父様も楽団に復帰されました。その間、お父様を癒やすためにバイオリンを演奏し、悲しみ、絶望や苦悩、葛藤を音楽を奏でることで昇華したことが、彼女の音楽性を高めることになったようです。

 

そのことを当時TEDでスピーチし、ツィゴイネルワイゼンを演奏した動画があります。もうこの時点でタダモノではない…!

www.ted.com

 

スピーチも素晴らしい…。普通に生きてるだけではこんな風に喋れないですから。英語もはっきり聞き取りやすいものの、完全にネイティブ英語。訳がほしいな〜と思っていたら、お父様自ら日本語訳していらっしゃいました!↓(若尾圭介さんのブログ、家族愛に溢れていて素敵です。)

wkboston.exblog.jp



11歳という多感な時に、父親を永遠に失ってしまうかもしれないという恐怖と戦い続けた経験。他の誰でもない、愛する肉親を心から癒やすために音楽を奏でたこと(しかも音楽のプロ中のプロを)。そして癌が完治して元気になったという喜び。この3つを経験している彼女は、表現者として同世代の人達よりは数段深い表現ができるのでしょう。何という僥倖。しかしそれは神様からの試練に打ち克った圭良さんへの贈り物なのかもしれません。

 

いつか彼女の音を聴きに行ける機会があったら嬉しいなと思います。



Keila Wakao(若尾圭良)さんのメニューインでの演奏


www.youtube.com


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