国語の教員でしたが、アメリカで子育てをして、日本に帰国しました。

高校の国語科教員を退職し、長女が1歳の時に渡米し、2022年に帰国しました。3人目も無事出産しました。

「ユークレーン」はどこの国

 

nicota-in-us.hatenablog.com

 

前回の投稿↑ に、私のアメリカ生活を描く妄想上の著作物の目次の一つとして、「ユークレーンってどこの国?」というのを書きました。

 

その投稿の実に2日後、ロシアがウクライナへ軍事侵攻しました。特に世界情勢に注視していたわけでもないのですが…虫が知らせたのでしょうか。

 

そうです、ご存知かと思いますが、「ユークレーン(Ukraine)」はウクライナのことです。英語だとそういう発音になります。知らなかったのは、何を隠そうこの私です。この二年半、ずっと胸にひっかかっていた出来事があったのです。

 

パンデミックになる前、まだ次女のプリスクールで、屋内でハロウィンパーティーができていた頃、親も参加型のそのパーティーの帰りに、初めて会話をしたママが、ヨーロッパの「ユークレーン」出身だと言っていたのです。

 

次女がようやく秋からプリスクールに通い始めて、ハロウィンは初めてのイベントでした。そのママは、少しシャイな感じがしましたが、帰る方向が同じだったので思い切って声をかけてみたのです。

 

初対面の人と話すのはやっぱりまだ緊張しましたが、そのママは気さくに話してくれました。そして、「ユークレーン」から来たのだと教えてくれたのです。そのママは、これからお仕事なのかな?というくらい、この辺りを歩くにしてはきっちりとした格好をしていました。日本のビジネスカジュアルくらいですが、「服」を着ていないことが多いアメリカ人の中では少し浮き出て見えました。

 

最初国名が全く聞き取れず、何度かきき直したのですが、どうしても「ユークレーン」という国名に心当たりがありません。正直、とっても焦りました。そのママは、「ヨーロッパの国で、ロシアやポーランド(色々な国を列挙してくれました)と隣の国よ」と説明してくれました。

 

旧東側諸国なのはわかったのですが、リヒテンシュタイン公国のように小さな国があるのかもしれない…世界地理に疎く、苦手意識のある私は思考停止してしまい、わかったようなわからないような反応をしてお茶を濁してしまいました。

 

そもそも初対面の人と苦手な英会話をするだけで緊張して冷静に考えられなかったとはいえ、ヨーロッパにある国がわからなかったなんて恥ずかしい…。全く無知なヤツめと思われたに違いない…。

 

家に帰ってよくよく考えてみたら、「ユークレーン」て、「Y」から始まると思っていたけれど、「U」から始まるのでは、と思い立ち(遅すぎですが)、「そうか!Ukrane!ウクライナだ!」と、やっと気がついたのです。

 

このように、いくつかの国名は英語で言い慣れていないとなかなかパッと出てこないものがあります。「オランダ」や「ドイツ」をすぐに英語で言えるあなたはかなりの上級者です。私はかつて「ドイツ(Germany)」がすぐに英語で出てこなくて、苦し紛れに「ドイチェ(Deutsche)」と言って笑われたことがあります…。(ちなみにオランダはNetherlandsですよね…)あと中国の人名や昔の国名も中国語読みをするので難しいのです…。「孔子」とか、英語で言えないと知らないのと同じことになってしまうんですよね…。

 

このように、国名にまつわる話をあれこれ書くことを妄想していたのですが、事態は急変しました。そして、あのママを思い出しました。あの後、私達は日本へ一時帰国して1ヶ月近くプリスクールへは行かなかったし、帰ってきた頃に新型コロナウィルスが流行の兆しが見えて、当時クラスで唯一アジア人だった次女は、何か嫌な思いをしないためにも念の為プリスクールを休んでいました。そしてやって来たパンデミック。学年もクラスも変わり、あの親子にその後会うことはなかったのです。

 

あのファミリーは、まだこの辺りに住んでいるのだろうか…。今のニュースを、どんな気持ちで受け止めているだろうか…。家族は大丈夫だろうか…。考えても言葉になりません。

 

そして…今現在、長女が小学校で最も仲良しのお友達は、両親ともロシア出身なのです。毎日のように立ち話をするのですが、どうもそのことには触れてほしくなさそうなのです。ただ、子どもを通じて、あなた達の家族のことを心配しているよ、と伝えました。そのご家庭は、今回の戦争に関しては肯定的な意見を持っている可能性もあると思われるので、我が家としてはどうしたらいいのか…。少なくとも今回のことを議論できる立場ではないなと思うのです。



今回の軍事侵攻について、そういえば佐藤優氏はどのように考えているのだろうかと記事を探したところ、オンラインではこれまでにこのような記事が見つかりました。↓

 

www.joqr.co.jp

www.joqr.co.jp

president.jp

news.yahoo.co.jp

 

佐藤優氏については、かの鈴木宗男氏と同時に逮捕された方ですので、様々なご意見があるかとは思いますが、私自身は、随分昔になりますが、彼の著作『国家の罠:外務省のラスプーチンと呼ばれて』と、『自壊する帝国』を読んで、それまであまり読んでこなかったノンフィクションの分野の面白さにハマりました。そして、まあどこまで本当のことを書いているかは定かではありませんが、「ロシアといったらこの人」という印象を、以来ずっと持っています。

 

私は彼の本で「インテリジェンス(情報)」の世界というのを垣間見たのですが、要するに、わかりやすい言葉で言うと「スパイ」の世界です。ただ、映画のようにドンパチしたり、レーダーをかいくぐって忍び込む…というのではありません。彼が言うには、必要な情報の99%は公開されている、のだそうです。膨大な、公開されている情報から必要な情報を見つけ出し、利用する…。現実にこんな世界が存在するんだなあ…と平和ボケした頭に衝撃をくらいました。

 

そんな佐藤さんは、我が家では「すごいよ優(マサル)さん」の愛称で親しまれています。(主に夫が言っているだけですが)

 

優さんは、その後もビジネス書等も含めて多数本を書いているので、注目している人は多いと思います。今回の戦争の分析についてもやっぱり「この人にしか書けないものを書いているな」という気がします。この人にしかできない分析で、非常に明晰で、冷徹で、わかりやすいといえばわかりやすいです。そして、「インテリジェンスオフィサー」としての、プーチン大統領に対する畏敬の念を感じます。良い悪いは別として、佐藤氏にはプーチン大統領の見ているものが見えているのでしょうね…。

 

アメリカの現政権の専門家が未熟で下手を打っている、というのも当たっているのでしょう。先のアフガニスタンの大失敗もありましたし、恐ろしいです。

 

プーチン大統領の狙いは、決してロシアの言いなりになる傀儡政権をウクライナに築くことではなくて、あくまで反ロシアとしてウクライナ国民に支持されながらもロシアと折り合いをつけられる指導者の出現を待っている、ということなのだそうです。

 

7日付の一番下の記事では、戦局は今や終局に近付き、ロシアはもう「戦後処理」を学習し始めている、と述べています。ドイツや日本に対して行われたような戦後処理を学び、二度とウクライナがロシアに楯突くことのない国家に教育し、改造する…。

 

ここからは私の妄想です。ここまで大きな被害と犠牲者が出たのも、戦局を読み誤った上層部のせい。大国に対して勝ち目のない戦争をし続けたのは「戦犯」のせいとして失脚させ(優さんはゼレンスキー大統領はNATO同盟国へ亡命すると読んでいます)、二度と戦争をしない平和国家を築く…。要するに、アメリカが日本に対して行ったことが、ウクライナでも行われるということなのでしょうか。この戦争の犠牲者は、平和国家を築くための尊い犠牲…?

 

納得してしまいそうになるけれど、ふざけるな、と言いたい。そういうやり方は通用しない、21世紀であってほしい。

 

佐藤氏の言う通り、本当にプーチン大統領の思い通りに動いていってしまうのでしょうか。21世紀に、そんなことがまかり通ってしまっていいのでしょうか…。21世紀は、インターネットによって「個」が力を持った時代だと私は信じています。だから、本当に小さい声でしかないけれど、声を上げます。イデオロギーが人命より優先されない世界になってほしい。リーダーは話し合いで解決する資質を持ってほしい。理不尽な暴力の先に未来はない。

 

真偽はさておき、とても面白かったです↓